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東京高等裁判所 昭和54年(ラ)1230号 決定

抗告人

川辺りゆう

相手方

花野サキ

主文

本件抗告を却下する。

理由

一件記録によれば、相手方が昭和三四年一二月一七日川辺一郎と婚姻し、同人を筆頭者とする戸籍に入籍したこと、相手方が右川辺一郎の死亡後民法第七五一条戸籍法第九五条の復氏の届出及び同法第一九条第一項但書の新戸籍編製の申出をしたとしてされた新戸籍の編製及び川辺一郎の戸籍からの除籍につき、相手方から右届出及び申出をした事実はないとして戸籍法第一一四条によりその訂正の許可の審判が申し立てられ、原審がこれを許可する旨の審判をしたこと、抗告人は右審判を不服として本件即時抗告を申し立てたものであることがそれぞれ認められる。

ところで、特別家事審判規則第一一条二項によれば、戸籍訂正の許可の審判に対し即時抗告を申し立て得る者は、利害関係人に限られ、右利害関係人とは、訂正許可の審判がされた戸籍の記載が正確であることにつき法律上の利益を有する者をいい、復氏のように身分関係に影響のない届出・申出行為に基づく戸籍記載の訂正許可の審判においては、右審判に基づいて訂正されるべき戸籍に記載されていない者又は既に分籍などにより当該戸籍から除籍されている者は、これに該当しないと解するを相当とするところ、一件記録によれば、抗告人は右川辺一郎とその先妻との間の四女で、川辺一郎と相手方との婚姻後は、相手方とともに筆頭者を川辺一郎とする同一の戸籍に記載されていたが、川辺一郎の死亡に先立つ昭和四一年五月二日戸籍法第二一条による分籍の届出をしたことにより新戸籍が編製され、右戸籍から除籍されていることが認められる。したがつて抗告人は原審判に対し即時抗告をすることができる利害関係人ではないといわねばならない。

そうすると、本件即時抗告の申立は不適法であるから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。

(杉本良吉 三好達 柴田保幸)

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